地域に生きる“みまさか”の若手たち

福寺 航大さん =鏡野町

地域に生きる“みまさか”の若手たち

福寺 航大さん
=鏡野町

きっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大だった。 学校は休校。津山中時代から続ける県南部での国際交流やボランティアの集まりにも行けなくなった。代わりに全国各地の学生らが開いたオンラインイベントに参加。地域活性化や環境、貧困、多文化共生といったテーマで意見を交わすうち、気付いた。
福寺 航大さん

こんな体験をくれた世界や地域に恩返ししたい

「オンラインなら、お金や場所がなくても地元に居ながら、さまざまな活動ができる」

鏡野町出身の津山高生に声を掛け、5月下旬、同町を中心に地域への問題提起や地方創生につながる活動を目指す「Kagamino Youth Circle」を結成した。

 

シンガポール、韓国、中国…。陸上や水泳に打ち込みつつ、町や県の海外派遣事業に参加。文化や風土の違い、発展や貧困の実情を目の当たりにした。

「教科書だけで現実は分からない。こんな体験をくれた世界や地域に恩返ししたい」

サークルの最大の狙いは「若者と社会をつなぐ」こと。社会の課題を自分のこととして捉えるきっかけとなるよう、政治参加や地方創生、まちづくりといったテーマを取り上げ、専門家らからオンラインなどで定期的に学習。自治体首長、地元経営者、地域おこし協力隊員らに次々に会い、地域のイベントや学習支援にも出向く。8、9月には環境問題を考えるオンラインイベントを主催した。

当初4人のメンバーは、作州地域の高校生や出身の大学生ら約30人に増え、活動対象を県北一帯に拡大した。今後、中学生や地域の大学生、県南や全国の高校生にも輪を広げる予定。来年には同町と友好憲章を結ぶスイスのイヴェルドン・レ・バン市の高校生との交流も企画する。

10月、福寺さんら5人は、鏡野町役場で町の将来を考えていた。

町政の指針「町総合計画後期基本計画」(2021〜25年度)策定に向けた意見聴取の一環。町側に招かれ「サークルの取り組みが評価され、地域に訴えを届けるという目指してきた活動に結び付いた第一歩」となった。

ワークショップ形式で「自然が豊か」「静かで住みやすい」といった魅力と「過疎」「生活が不便」といった変えたいところを列挙。やるべきこととして「魅力に気付くきっかけの提供」「農林業で特徴を出す」などを提案。「私たちで“かえる”町 私たちの“かえる”町」とのコンセプトを発表した。

「中高生が社会を変えるメッセージを発信し、課題解決に影響を与えられれば、若者が『来たい』『帰りたい』地域につながるはず」と考える福寺さん。

さらに幅広く学び、人脈をつくるため、大学進学で地元を離れることになりそう。サークルの仕組みを残し、つながりを保ちつつ「社会の役に立てる人間になる」との未来を見据える。

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