地域に生きる“みまさか”の若手たち

櫻井 彩子さん =真庭市久世

地域に生きる“みまさか”の若手たち

櫻井 彩子さん
=真庭市久世

結婚式場や花嫁衣装、料理や引き出物、司会に音響、カメラマン、美容師、移動に使うタクシーやバス…。結婚式に必要なもの全てを地元でそろえ、式も挙げるブライダルプロジェクト、その名も「まにわ婚」が真庭市内で広がりつつある。
櫻井 彩子さん

真庭を思い出の地に

プロジェクトを構成するのは神社やホテル、鮮魚や生花店、写真館など約40社。櫻井さんは式の企画・提案から、新郎新婦の当日のサポートまでこなす婚礼プランナーを務める。招待人数や予算などに応じ、その都度、業者の組み合わせを決める調整役でもある。

 「責任が大きく大変なこともあるけど、身近な人々の感動の場面に立ち会える。やりがいは大きい」

 2014年に活動を始め、送り出したカップルは約30組。式場は蒜山高原や湯原温泉のホテル、勝山中心部の酒蔵レストラン、落合地域の寺社などさまざまだ。築110年を超える旧遷喬尋常小講堂での神前式や勝山の町並み保存地区での花嫁行列も実現させた。

 

 久世で育った櫻井さんは、兵庫にいた大学4年生の時、母親が医師から余命宣告を受けたことを知らされた。現地のホテルに就職が決まっていて迷いもあったが、「母のそばにいてあげたい」との気持ちが勝り、帰郷。両親が営む家具店を手伝い家計を支えた。

 その後、父母とも他界。弟が社長に就き、櫻井さんは母親が手掛けていた貸衣装部門を引き受けた。婚礼衣装の注文を受けるうち、「新郎新婦の晴れ姿を見届けられないのは寂しい」との思いが募り、仕事を終えてから岡山市のキャリアスクールに週1回ペースで半年通いプランナーの資格を取得。13年に婚礼プロデュース会社「カレン」を立ち上げた。

 プロデュース業務を始めて痛感したのが、婚礼施設の充実した津山や岡山市で挙式するカップルの多さ。「真庭を思い出の地に変え、地元業者も元気にできないか」と思案していたところ、同じ志を持つ木山神社(木山)の禰宜(ねぎ)鈴木宏志さん(45)と知り合い意気投合。鈴木さんを代表とするプロジェクトを発足させた。

 これまでに対応したカップルの注文は「初デートの場所を式場にして」「身内だけで挙げたい」「派手なのは嫌」…などなど。晩婚化のためか小規模での開催希望が増えており、「まにわ婚でも十分対応できる。ニーズはまだまだある」と手応えを感じている。

 希望あふれる結婚式は開催地にも元気を与えている。旧上田小(田原山上)を改修した「UEDA(ウエダ) VILLAGE(ビレッジ)」で昨年11月に開いた披露宴では、地元住民が祝福に駆け付けてフラワーシャワーに参加し、会場をアットホームな雰囲気に包んだという。

 新庄村のがいせん桜通りや、ホタルシーズンの北房地域での婚礼プランも構想中。「結婚式を通じて真庭の魅力を伝え、住み続けたり、市外から移住したりするきっかけをつくれたら」と目を輝かせた。

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