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作州の若手 熱く議論
津山市内で18日に開かれた「みま咲く未来シンポジウム」(県美作県民局主催、山陽新聞社主管)。パネルディスカッションでは、本紙作州ワイド版の連載「この地に生きる—作州の若手」に登場した6人と、まちおこし団体「津屋崎ブランチ」(福岡県)の山口覚代表が、地域の現状や目指すべき将来像、実現へ必要な活動について熱く議論した。
山口さんを除くパネリストは、和田デザイン事務所の和田優輝代表(津山市)畜産家・豊福祥旗氏(奈義町)河野酢味噌製造工場取締役の河野尚基氏、カフェ「ろまん亭」店主の松尾敏正氏(以上真庭市)「難波邸」「UJITEI」経営のテキスタイルデザイナー山本侑香氏(美作市)。コーディネーターはウェブサイト制作などのレプタイル(津山市)の丸尾宜史社長。
地域の現状 乏しい発信力課題
東京からIターンした和田さんは美作地域について「小さいコミュニティーなので行政や専門家に直接相談できる機会は多いと感じる」と指摘。自身が暮らす地区で高齢者が暮らしやすい仕組みづくりなどに取り組み「東京にいた時よりも、自分の役割を実感しやすかった。それがやりがいにもつながる」と話した。
山本さんはゲストハウスを営み、多くの外国人観光客と接する中で「近年は田舎の暮らしに興味を持っている人が多い。一つの都市に街と自然がある場所は意外と少ない」と地域の強みを紹介する一方、「新しい需要があるにも関わらず発信力に乏しい。魅力をもっと伝えるべきだ」と課題を述べた。
「都会ではサービスが飽和している。田舎の方がビジネスチャンスが多い」とするのは松尾さん。地域おこし協力隊としてカフェ経営や移住・定住支援など新規事業を手掛けてきたことから「何事にもチャレンジを」と強調した。
目指す将来像 得意分野で協力を
「1人でできることは限られる。複数人が集まれば互いを補うようにしてアイデアが生まれ、足し算がいずれ掛け算になっていく」と豊福さん。個人で情報発信ができる環境にあるとはいえ、個々が役割を認識し、それぞれの得意分野で協力する地域を提案した。
松尾さんは「自己実現可能な環境」が重要だと述べた。自らの活動も、さまざまな業種と関わり、手助けを受けてきたとし、「田舎だから自分の可能性が縮んでしまうということはない。むしろ『こんな自分になりたい』をかなえるには、あらゆる可能性が残されている地方の方が良い」と訴えた。
子育て中の山本さんは「子どもが成長した時、豊かに暮らせる」地域を願った。美作地域は「農業で最低限は自分の食べる物を確保できる。その上で、やりたいことを実現できる環境があれば、どんどん地域が好きになる。多くの人が、地元に戻り子育てをしたいと思える地域になってほしい」と話した。
必要な活動 「つながり」が鍵に
地域の現状や将来像を語り合う中、これから必要な活動については「つながり」がキーワードになった。
和田さんは「高校生が地域外の大学に進学した後、どうやって地元に戻ってもらうか。求められるのは緩やかなつながり。地元を出た学生との関わりを保つ方法を考えていくべきだ」と提言。丸尾さんは「子どもたちが出ていく前に、地元の魅力を伝えたり体験してもらったりすることが大切だ」と訴えた。
行政への要望に触れた河野さんは「農業や商業、住民など、各団体間の交流は起こりにくい。行政に間に入ってもらい、潤滑剤の役割を担ってもらえれば、より地域は活性化できる」と話した。
山口さんは「特に目的はなく雑談ができる場所が多くあると良い。仕事、家庭、最近の苦労といった話から、地域をより良くするアイデアが生まれる。そういう場所の存在は見えにくいので、意識的に守ったりつくったりする必要がある」と締めくくった。