ニューノーマルへ-コロナとその先-
Most important things is“ Changing”
「力が強いことではなく、頭がいいことでもなく、変わることが最も大事なんだ」
デザインを軸に仕事をしていた私が津山の田舎に帰り、
空き家を活用して宿を始めた時に
来られたゲストが伝えてくれた言葉です。
私の倍以上生き、仕事で成功を収め世界中を渡り歩く彼の言葉は
新しい仕事を始めようとしていた私を大きく前進させてくれました。
田舎で育った私は、この言葉を聞いた時に自然界をイメージしました。
植物、動物、昆虫、どの生き物をみても
完璧で最強の生き物は見当たらず、
背の低い植物は地に根を張り、
背の高い植物は光を沢山浴びる。
みんなそれぞれに生き抜く方法を編み出し、
進化できないものは淘汰されています。
だからこそ、自然界には沢山の種類の動植物が混在していて、
進化の数を見ると同時に生き残る方法を思考体現した集合体の美しさであると感じます。
では私達人間はどうでしょうか。
今回の新型コロナウイルスを通して、文明が発達した現代でも、自然界のウイルスにこんなにも翻弄されています。
私達が作り上げてきた社会の脆さや心の弱さを感じた数カ月でした。
2月頃から報道され始めた絶望的なニュースとは裏腹に
3月、4月と寒い冬から命の芽吹く春が来て、
ツバメは遠くの暖かい国から渡ってきて巣を作り始め、
冬場、死んだかのように見えた木に新芽が咲き始めました。
当たり前に見えるその景色の背景に、
遠い国から渡る途上で息絶えたツバメもいるだろうし、
冬の雪に耐えられずに枯れた木もあるでしょう。
生きることと死ぬことは、この世界に生まれてきたものに皆、平等に与えられ、
その中でもがき必死に「生」を獲得することで命は繋がっています。
生きるということを当たり前のように感じていましたが、その考えはとても傲慢で
コロナウイルスを通して生物としての根本に返った気がしました。
文明の発達と物理的な生物としての強さはイコールではない、と思い知らされました。
では私達を生物として考えた時に、
犬のように強い顎もない、熊のように強い手も持たない
人間がここまで命を繋いできたのは、なぜだろうとも思ったときにはっと気づきました。
それは、今まさに私が考えているように、過去を思い出し、未来を思考することが出来るからだと。
人間は弱い。だから未来を思考し、ルールや社会を作り、発展してきたのではないでしょうか。
今一度、原点に戻り、
教育、政府、仕事、貨幣など、
本来、何の為に存在するべきなのか、大事なことを見極め、
今の時代に合わせた方法を模索し、柔軟に変化し、私達が進化する時だと思います。
私自身、仕事としては、インバウンド向けの宿はゲストが激減しました。
しかし、インバウンド向けの宿として何が外国人に求められていたのか、
原点に戻り、その求められていた内容を宿としての提供ではなく、
違う形で提供できないか考えているところです。
また、県外、外国から人を呼ぶという経験を他に転用し、
企業様に向けてデザインを使った集客、販売の方法も提案し始めました。
コロナウイルスの影響が経済的にも出ていますが、
自分ができる事を見直し、すぐさまに形(方法)を変えていく事で、強く進化していけたらと思います。
Antamina副代表 山本侑香