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真庭高落合校地「真庭トライ&リポート」 古里知り視野広げる
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2022.03.11

真庭高落合校地「真庭トライ&リポート」 古里知り視野広げる

普段は静かな山里に、生徒たちの明るい話し声とのこぎりを引く音が響く。10月下旬、真庭市東部の余野地区の空き家。真庭高落合校地(同市落合垂水)の1年生3人がシェアハウスにリフォームする作業を手伝っていた。

改修は、地域おこしを手掛ける会社代表の藤田亮太さん(38)=余野下=が関係人口を増やして地域を元気にしようと発案。地域学「真庭トライ&リポート」(TR)を学ぶ生徒たちが協力を申し出た。

この日は、12月下旬に開かれるお披露目会で飾る竹灯籠作りに取り組んだ。鈴木奈々子さん(15)は「空き家が交流の場に生まれ変わるのが楽しみ。将来はインテリアデザインの道に進みたいので勉強になる」と声を弾ませる。藤田さんは「竹灯籠は高校生目線のおしゃれなアイデア。来場者に楽しんでもらえるはず」と期待する。

TRは2010年にスタート。地域に出向いて関心事や課題を見つけ、調べ学習や解決にトライ(挑戦)し、成果を住民にリポート(報告)する。1年生は農業や経済、環境問題、防災などから興味のあるテーマを選択。2年生は希望進路別に班をつくって生徒自身が学習テーマを決めて取り組む。

本年度は1年生59人が16班、2年生56人は14班に分かれて週1、2時間のペースで活動。生ごみやし尿から製造するバイオ液肥を使った野菜の栽培研究▽落合地域の魅力を伝えるウオーキングマップの製作▽障害のある子どもの支援—などに挑んでいる。

蒜山高原で採れる珪けい藻そう土どを使った商品開発を目指す2年生の班は6月、商品製造を手掛ける地元企業の工場と採掘場を見学。地元の天然資源が産業振興につながっていることに理解を深めた。

TRを担当する中山順充指導教諭(49)は「地域に出て住民と話すことで視野が広がり、自分が関心を深めたいと思う分野が分かる。TRは進路を明確にする手助けになる」と強調する。

「地域を知る」ことに重きを置いてきたことで、地元の魅力に気付き、Uターンする卒業生も出始めた。

昨春に大阪府の大学を卒業し市職員になった内田隼多しゅんたさん(23)もその1人。TRを通じ、市が全国でも先進的なバイオマス発電事業を展開していることを知って「地域を誇らしく思えた」と、古里発展への貢献を志したという。

住民らに披露する報告書や成果発表会でも、「地元住民との交流を通じて地域をもっと好きになった」という声が多く出るようになったという。

豊田涼校長(57)は「古里の良いところを知らないまま、進学や就職で地元を離れる生徒が多い。主体的に地域に入り込み、埋もれた潜在力に気付いてほしい」と願う。

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