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林野高校「みまさか学」 地域と協働し課題解決
夏真っ盛りの8月8日、美作市の湯郷温泉街。勝田地域で暮らす津山高2年下山大輝さん(17)は、温泉街を巡りながら風景を写真に収める「フォトロゲイニング」のイベントを楽しんでいた。
「湯郷には温泉以外の魅力がたくさんあることが分かった。もっと地元のことを知らないといけないと実感した」と下山さん。
催しを企画したのは、林野高(美作市三倉田)の「みまさか学」で温泉街の魅力発信方法を探究する「にぎわいチーム」の3年生3人。地元の野菜やかき氷などの出店が並ぶ「ゆのごうマルシェ」に合わせて実施した。
「地元の人が改めて魅力に気付くきっかけになれば」。チームリーダーの内田悠翔さん(18)がその狙いを語る。
みまさか学は2、3年生対象の選択科目として2014年度にスタート。地域の人と協働で課題解決に取り組み、コミュニケーションやプレゼンテーション能力を向上させることを目標に、2年でフィールドワークを含む課題の探究、3年で解決策を実践する。
21年度は2年生13人、3年生17人が受講。3年生は5グループに分かれ、3世代交流運動会や吉野川護岸ブロックの壁画の再生活動、湯郷温泉街でのサイクリストの休憩施設整備などに取り組んでいる。
本格的に地域と手を取り合ったのは18年度から。市や美作県民局、美作青年会議所、湯郷温泉観光協会といった官民組織や卒業生が生徒の活動を支援する「地域連携協議会」を発足。年3回程度の会合を開き、地域の実情を多様な視点から生徒にレクチャーしている。
みまさか学を担当する吉川英明教諭(40)は「地域の支援は大変心強い。地域の多様な意見を聞くことで視野が広がり、新しい発想が生まれれば」と期待する。
みまさか学を学んだことをきっかけに、大学で地域学を専攻する生徒も出始めた。
昨年度は男女1人ずつが地域学を学べる大学へ進学した。そのうちの1人である北九州市立大地域創生学群1年の渡辺希弥のぞみさん(18)は大学では農業を通じたまちづくりを学んでいる。8月下旬に母校を訪問してリモート形式で2年生に対し、大学での活動や高校時代の体験を話し、実践案を助言した。
渡辺さんは「地域の人々と一緒にまちづくりができることが地域学の魅力であることを『みまさか学』は気付かせてくれた。卒業後はUターンして美作を元気にしたい」と夢を語る。
他にも社会福祉士の立場から地域づくりに関わることを将来の目標に据え、美作大に進学した卒業生もいる。
みまさか学が産声を上げて7年。古里の課題に真っ正面から向き合おうとする若者が着実に育っている。