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勝間田高「アグリ魅力化プロジェクト」 就農者とPV、出前授業
生産者の減少と高齢化が深刻な作州エリアの農業。担い手育成は地域の行く末を左右する大きな問題である。
農業の楽しさ、やりがいを知ってもらい、就農者の増加につなげようと、農林業で活躍する幾多の人材を送り出してきた勝間田高(勝央町勝間田)は、昨年4月から「アグリ魅力化プロジェクト」をスタートした。
第1弾として同11月、農業の魅力を就農者に伝えてもらうプロモーションビデオ(PV)を制作。プロジェクトのホームページで公開するとともに、動画投稿サイト・ユーチューブでも配信している。
依頼したのは酪農と林業、果樹、米を栽培する町内外の若手6人。そのうちの1人で、10年前に千葉県から町内に移住したブドウ農家高山真宏さん(41)はこう呼びかける。「農業の可能性は無限大。頑張った分だけ実りが返ってくる」
プロジェクトは、町教委や地域活性化に取り組む一般社団法人「しょうおう志援協会」などと連携してスタートした。本年度は1〜3年の約15人が参加し、PVに登場してもらう農家を増やすほか、小学生を対象にした農業体験や、PVに登場した若手農家らが小学校へ出向く出前授業を企画している。
9月13日には町役場前の畑(約8アール)で、勝間田小の学童クラブに通う児童7人に対し、生徒が育てたキャベツ、ブロッコリー、白菜の苗を30株ずつ植えてもらった。
同24日には生徒たちが、間引きをしたり、防虫対策として木酢液をまいたりして子どもたちが植えた畑の手入れに励んだ。
2年三木星奈さん(16)は「無事に育っていて安心した。小学生と一緒に見守っていきながら農業のおもしろさを伝えたい」と話す。
農業に関心のある若者を招き農家や生徒とともに農業を体験する交流事業や、栽培や農業経営などを学べるゲームの開発も検討しており、構想はどんどん膨らんでいる。
プロジェクトのスタートと同時に新型コロナウイルスが拡大し、活動は制限を余儀なくされたが、現在はようやく落ち着いてきた。これからがプロジェクトの見せ場となる。
2年小林優奈さん(16)は「農業の衰退を防ぐためにも自分たちができることを全力でやっていきたい」と意気込む。
とはいえ、農業を取り巻く現状が厳しいことは、同高の卒業生の進路からも見て取れる。農業を学ぶ生徒は1学年約50人いるが、卒業後すぐに農業の仕事に就くのは例年1、2人だけ。時代とともに減り続けているという。
中野功校長(57)は「高校生の目線で魅力をアピールすることで、生徒はもちろん、一人でも多くの子どもたちが農業を志してくれれば」と期待する。