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勝山高蒜山校地「蒜山 Ⅰ Ⅱ Ⅲ」 地域学び活性化策提案
「サンショウの香りがしたみたいよ」「味は淡泊で、食感は軟骨のようにコリコリしてたって」
勝山高蒜山校地(真庭市蒜山上長田)の3年生は今夏、地元に生息するオオサンショウウオ(国特別天然記念物)の味について会話を弾ませた。戦後しばらくまで貴重なタンパク源として食用にされたことを踏まえ、味を再現したハンバーグ作りに挑戦した。
食べたことがあるというお年寄りに聞き取りし、鶏の胸肉や軟骨を使ったレシピを開発。11月に津山市で開かれる飲食イベントで販売する予定。レシピ開発に協力した地元飲食店の料理長杉村洋美さん(45)=蒜山下徳山=は「生徒たちの目の付けどころが面白い。地元の名物として知名度が広がれば」と期待する。
蒜山校地の生徒数は県内最少の42人(定員120人)。人数こそ少ないものの「地域になくてはならない学校になる」(藤原修副校長)ことを目標に、2019年度から地域の歴史や人々の営みを学んで活性化策などを提案する地域学「蒜山123」を展開している。生徒が地域の課題を発見し解決につなげる活動をすることで、学校と地域双方の魅力アップを図る。
1年生は地元の郷土博物館や農園で職場体験し、2年生は住民にインタビューして地域資源を生かした商品開発など一つの企画に取り組む。3年生は複数の班に分かれ、観光地の集客や校地の入学者を増やす対策を考える。
本年度の3年生22人がハンバーグ開発以外に取り組んだのは、豊かな自然をPRする映像作品(5分)を動画投稿サイト・ユーチューブで公開▽入学希望者へのアピールに向け、同校地の中庭を生徒の憩いの場にするためにウッドデッキやれんがを敷いた道の整備▽同校地のホームページへの動画や写真の充実—の3項目。来年1月にはこれらの取り組みを地域住民に向けて発表する。
地域学をよりパワーアップさせようと、3年生を対象にした職業人による連続講演会を本年度スタート。地域おこしに取り組む人やデザイナー、音楽家ら約10人を招き9月から12月まで開く。
中学校に出向いて行ってきた高校紹介も、今年から教員に加えて生徒も担う。学校の特長と魅力を生徒目線で分かりやすく伝えるのが目的だ。
生徒会長の3年川越博文さん(18)は「先生から背中を押してもらいながら、さまざまな提案を行えるのが地域学の魅力。生徒が少ない分、先生との距離が近くて何でも相談しやすい」と小規模校ならではのメリットを強調する。
藤原副校長は「生徒が地域とともに成長し、大学や社会で通用する提案力を育んでほしい」と話す。