“みまさか”ではたらく人物図鑑
株式会社つるや 販売部第3課 課長
藤原 裕也 さん
1992年津山市生まれ。2011年3月美作高校IT科を卒業後、同年4月につるや入社。勝北店などを経て18年6月に勝間田店の店長となり、20年10月から現職。津山市在住。
温かい弁当で故郷を温かく
「美作地域で『つるや』を知らない人はいないはず」。
人懐っこい笑顔で自信ありげにこう話すのは、弁当販売・仕出し業のつるや(津山市上村)の藤原さん。
今年10月に20代の若さで5店舗を統括する課長に就任、地域で愛される店づくりを目指している。
ドライな都会での生活より、生まれ育った地方での顔の見える付き合いやぬくもりが感じられる生き方に価値観をおく。
故郷での就職がかない、持ち前の人間関係構築力を発揮し、より「心の満足」が感じられる店づくりに汗を流す。
「田舎の良さは飾らない温かさ。つるやの業態や店の雰囲気は、それらにぴったりと合う」。
藤原さんは、地域の“食のインフラ企業”として、店舗を岡山県北一帯に広めていく目標を掲げる。
つるやは、岡山県北の美作エリアを中心に15店舗の弁当店を展開する。藤原さんが担当する河辺店(津山市河辺)。売り場には自社工場や店舗内でつくった数十種類の弁当をはじめ、総菜やパン、菓子、飲料などがずらり。購入した弁当や注文した料理が食べられるイートインスペースもあり、コンビニエンスストアと定食店のいいとこ取りをしたような手軽さと出来たて感が味わえる。
仕出しで利用する人も多く、年配者や子供向けのメニューにも応じる。季節感を大切にし、地域で好まれる味付けや豊富な品ぞろえでリピーターを獲得し、高い知名度を誇る。
藤原さんがつるやを志望したきっかけは、店舗の雰囲気。
「子どものころから客として訪れると、お母さんぐらいの年配店員さんが明るく接してくれ、学校での話などを聞いてくれるなど、すっかり顔見知りになった」とし、その温かみにひかれて就職。社風は思った通りで、現在、自身が距離の近い接客や気配り、心遣いを徹底している。
藤原さんの働きがいは、温かい雰囲気の店づくり。
入社7年後に初めて店長を任された勝間田店(岡山県勝央町勝間田)で、店全体の成績が求められるようになり、店舗スタッフに「優しく」「分かりやすく」説明することを心掛けた。
明るく活気のある店づくりを推進すると、特に顧客からは地元のスーパーで声を掛けられ世間話に花が咲くなど、より密な関係に。
「店の雰囲気がより良くなればお客さんは自然に増える」と、人の輪が広がり業績もアップしたという。
イートインを生かした“アツアツ”の弁当づくりにもこだわる。
短時間で出来立ての料理を出すためには、仕込みなどの準備に「取り組めることは多い」と改善に余念がない。
こうした藤原さんの実践は社外へと波及。昨年9月に東京で開催された「スーパーの甲子園」と称される全国規模のセミナー「やる気と感動の祭典」に、社を代表して出場、成功事例を発表した。
「飲食業は採用が厳しいが、職場の雰囲気が良ければ自分のように志望してもらえる。何よりレストランとは違い“敷居の低い”つるやの業態は田舎にマッチ。岡山県北に浸透させていきたい」。
藤原さんは県北に根差し、地方活性化にまい進する。