“みまさか”ではたらく人物図鑑

2023
石本 茜さん

株式会社つるや 林野店 副店長

石本 茜 さん

1999年赤磐市生まれ。2018年作陽高校(現・作陽学園高校)フードデザインコースを卒業。同年つるやに入社。吉井店、江見店を経て21年から林野店に勤務し、23年10月から副店長を務めている。

”食”で暮らしに豊かさを届けたい

津山・美作地域の幹線道路沿いに14店舗を展開する、弁当・食堂の「つるや」(津山市上村)は、「県北で暮らす人には欠かせない」“食のインフラ企業”。中でも湯郷温泉近くにある林野店は、仕事の合間に弁当や飲み物を求める人、夕食の惣菜を買いに来るお年寄り、食堂を利用する家族連れなど幅広い層が訪れる人気店だ。同店で副店長を務めるのは石本茜さん。レジに立ちながら混雑時には厨房を手伝い、合間に商品管理を行うなど幅広い業務を担っている。「入社当時は接客が苦手だった」が今では常連客に声をかけ、売れ行きを把握するなど店全体に目配りできるまでに。「つるやは人と人との温かい触れ合いがあるのが特徴。お陰で仕事を通して成長できた」と言い、さらに愛される店づくりを目指している。

赤磐市で生まれ育った石本さんは、栄養学を学ぶ姉の影響で食に興味を持ち、親元を離れて津山市内の作陽高校フードデザインコースに進学。栄養や調理のほか、盛り付けやテーブルコーディネート、ホテルのコース料理まで幅広く学び、卒業後は好きな「食」に関われる仕事を志望した。その際、一番に思い浮かんだのが「幼い頃、父親とよくかつ丼を食べに行った楽しい思い出」のある「つるや」。菓子やパン、飲料、種類豊富なオリジナルの弁当や総菜を販売するほか、作り立ての料理を提供するイートインスペースがあり、仕出しも手掛ける食に関する仕事の幅広さにも引かれて入社を決めた。

入社後配属された吉井店ではレジを任された。ところが「声が小さく引っ込み思案だった」石本さんは客との意思疎通がうまくいかず、注文や金額をミスして落ち込み、涙することもしばしばだった。それでもくじけず「お客さまの目を見て話す」ことを自分に課すことで苦手意識を克服。次第に常連客と打ち解け、自然に会話ができるようになったという。

その後転属した江見店でもお客さんに積極的に声かけを行った。毎日夕食の総菜を買い求めるお年寄りの男性客から「今日は何のおかずがいいかな?」と相談されると、高校時代に学んだ食の知識を生かして、体調に合わせたヘルシーなメニューを紹介。「ありがとう、おいしかったよ」と喜ばれるのが何よりうれしかった。

やがて商品管理を任せられると牛乳やヨーグルトなどの乳製品を担当した。賞味期限が短い乳製品は特に仕入れが難しい商品。石本さんはレジや厨房の忙しい業務の合間に売れ行きを確認し、定期的に特定の商品を買い求める人を把握して最適な量を仕入れる努力を行った。残さず売り切ることはもちろん、「本当に欲しい方に商品が届いてほしい」という思いが強かった。

客に喜ばれ、店の売り上げに貢献する商品管理の仕事で“商売の面白さ”に目覚めた石本さんは、林野店に配属されてからもその手腕を発揮。年に一度3日間のキムラヤのパン記念セールでは、事前にパンの売れ行きをリサーチし、期間中に仕入れるパンの種類と量を「帰宅後も考え抜いて」発注。ほぼロスなく売り切った時は、大きなやりがいを感じるという。 

「入社当時はとにかく目の前のことを頑張るだけでしたが、今は店の運営に携われるまでに成長できたのがうれしい」と話す石本さん。地域で暮らす人々、特に高齢者にとって「つるや」は大切な存在だと肌で感じているといい、おいしく健康的な食を提供し、さらに会話も楽しめる温かい雰囲気を大切にして、活気のある店づくりをしたいと夢を描いている。

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