“みまさか”ではたらく人物図鑑
仁木鉄工株式会社 工務部 配送担当
木元 滉佑 さん
1998年津山市生まれ。2017年津山商業高校卒業。運輸会社での勤務を経て19年に仁木鉄工に入社。
鉄骨の製造・加工で快適な空間づくり
丈夫な上に柱が少なく、空間を広く使えるのが特徴の鉄骨建築は、病院や物流倉庫、小型店舗など、さまざまな建物に使われている。鉄骨の製造から施工までを一貫して手がける会社の中で、木元さんは製品の出荷管理を担当。社内のあらゆる部署や社外の運送業者とコミュニケーションを取り、部材を工場から建築現場へ円滑に運ぶよう差配する“司令塔”のような役割だ。西日本を中心に全国各地で同時進行する複数の建築工事に目を配り、大きさや形が異なる部材の数々を把握する必要がある。一つのミスが工事の中断につながるだけにプレッシャーは大きいが、社業全体を見渡すことができる仕事にやりがいを感じている。「『街の骨を創る。』という会社のキャッチフレーズに恥じぬよう、快適な空間づくりに貢献したい」と笑顔で語る。
津山市で生まれ育ち、幼い頃からバスの運転手になるのが夢だった。高校卒業後、夢をかなえるべく運輸関係の企業に就職したが、任された仕事はトラックの配車管理。約2年勤めたのち退職して故郷に帰り、目に入ったのが国道53号沿いに建つ仁木鉄工の社屋だった。「町のみんなが知っている会社ですが、いつの間にか大きな工場が建っていて驚きました」と木元さん。成長著しい企業で働きたいと思い、面接に臨むと「ちょうど前職のスキルが生かせるポジションが空いています」と言われ、トントン拍子に入社が決定。不思議な縁を感じたと同時に、地元での就職に安心する親の表情も見られた。
入社後は工務部に配属され、出荷管理を任されることになった。建築現場から鉄骨部材の発注が入ると、製造部門に連絡して製品を調達し、輸送業者の手配も行う。いわば物流の司令塔のような役回りだ。いくつもの建築工事が同時進行しているため、トレーラーやトラックを1日数十台段取りすることもある。何十トンもある部材はそれぞれ大きさや形が異なっており、荷姿もさまざま。いかに無駄なく、無理なく積むかが試され、ノウハウは一朝一夕では身に付かない。「輸送先を間違うと工事がストップしてしまうので、気が抜けません。仁木鉄工の製品を世に出す“最後の砦”だと思って仕事をしています」。
入社1年目のある日、広島県のある現場に製品が届かない事態が起きた。「現場の担当者から『部材がない』と電話を受けたときは、冷や汗が出ました」と木元さんは振り返る。大型トラックの運転免許を持つ社員が追送してくれ、この時は事なきを得た。次の現場は埼玉県で、遠距離なだけに追送はできず、同じミスをすれば取り返しのつかないこととなる。プレッシャーの中、全ての荷物を無事に発送。空になったヤードでベテランスタッフから「無事終わったね」と声をかけられたのがうれしかったという。また、2020年操業の第2工場を建設した際は、自社で部材を調達。自分たちの手で自分たちの工場を造ることにやりがいを感じた。「設計から製造、品質管理まで、会社の仕事全体を見渡すことができるのが楽しい」と語る。
趣味は東北のプロ野球チームの応援で、仕事が休みの日には津山から出る高速バスを利用し、大阪でのデーゲームを日帰りで観戦。2024年シーズンは計16試合に足を運び、本拠地・宮城の地も踏んだ。「岡山出身選手の応援には自然と力が入りますね」と郷土愛をにじませる。新卒人材を積極採用していることもあって職場には活気がみなぎっており、自分のように作州で働く若手が増えることをうれしく思うという。「いまの仕事を究めることで、鉄骨による快適な空間づくりに貢献する。仲間たちといつまでも地元で働きたい」と話す。
会社概要/1966年創業。納入期限の厳守と親切丁寧をモットーに、鉄骨部材の製造・加工から建築工事までを一貫して行っている。津山市に二つの工場を持ち、熟練の技術と大型設備で高品質・低コストを実現し、建築需要の多様化に対応してきた。2024年7月にはホールディングス化して体制を強化している。〒708-1215 岡山県津山市杉宮742–1 TEL0868-29-4005