“みまさか”ではたらく人物図鑑
美作大学 生活科学部 児童学科4年生
小椋 葉月 さん
2001年津山市生まれ。津山北稜中学校、岡山県立津山高校を経て、20年美作大学 生活科学部 児童学科 小学校教員養成コースに入学。2023年10月、岡山県教員採用試験に合格。24年4月、県内の小学校に就職予定。
子どもの教育通して地域に恩返しを
明るくハキハキと快活に話を交わす小椋葉月さんは、「食と子どもと福祉」の優秀な専門職人材を多数輩出している美作大学(津山市北園町)の4年生。2023年10月に岡山県の教員採用試験に合格し、県内の小学校に就職が決まっている。小学校教員を目指し、美作大学の児童学科へ進学したのは、カリキュラムが魅力的だったから。「実践的な演習を2年次から取り入れている大学はあまりなく、教育現場ですぐ通用しそうだと思った」のが決め手だという。目指す教員像は、「子どもたちを精いっぱい愛し、彼らの自己肯定感を高められるような先生」。人がみな優しく温かい地元・津山が大好きで、「今までたっぷり愛情を注いでもらった地域に、教育の場で何か恩返しができれば」と、満面の笑みで語る。
津山市内で小学校教員の両親のもとに生まれ、その姿を見て育つうちに「教師の仕事って楽しそう。私も父母のように先生になりたい」と自然に教職への夢を抱いた。自身も子どもが好きで、高校時代にははっきりと小学校教員を目指して志望先を絞った。
地元で自宅から近い美作大学には小学校教員養成コースがあり、2年生から模擬授業が始まり、3年次には教育実習、4年次には通年の「教育実践演習」で40時間以上小学校での実習があるなど特徴的なカリキュラムを導入している。「教員採用試験だけでなく、現場ですぐに通用しそう」と入学を決めた。
入学して良かったことの一つは、「担任制」の学校だったこと。勉強や進路のことばかりでなく、プライベートな心配でもすぐに相談に乗ってもらえるのは心強かった。また、学内の友人や先生方がみな温かくアットホームなのも、マンモス校とは違う良さだと感じている。一方、学業の傍らヒップホップサークルにも熱中し、ダンスサークル「クルール」と「SDC」に所属して活動。地域のイベントのベストパフォーマンス賞にも輝くなど、チームのけん引役として活躍した。
学校生活を通じて印象に残ったのは、3年次での教育実習の1カ月間。以前、何度かボランティアを行った小学校ではあるが、大学生を子どもに見立てる模擬授業とは異なり、実際に子どもたちを目の前に授業をするのは緊張し、不安ばかりだった。始まってみると、児童が活発に質問や発表をしてくれ、スムーズに実習ができたことに安堵(あんど)した。「最後のお別れの時に、クラスのみんなも私も泣いてしまって。その時『先生になる夢がかなうんだ』と素直に喜びました」と振り返る。
美作大学での4年間で、「知識だけの勉強ばかりではなく、実際に子どもたちとしっかり触れ合える充実した演習を通じて、教員という仕事をとても身近に感じられた」ことが大きな成果。その学びを生かして、難関の二次試験での個人面接や口頭試問もクリア。教員採用試験に合格した。
自身が小学生の時、授業で田植えを行い、収穫した米で餅づくりをし、お年寄りと触れ合う機会があった。その経験からも「地元・津山の人はすごくあったかい」と感じていた小椋さん。「ちょうどいい田舎で、アットホームなところが津山の魅力」と話す。地元での就職がかなえば、「父母のように子どもたちを全力で愛し、見守れるような人間力を養いたい。常に研究を重ねて地域に恩返しができるような教員を目指し、努力したい」と、春からスタート地点に立つ。