“みまさか”ではたらく人物図鑑
銘建工業株式会社 バイオマス事業部
平野 あや子 さん
1998年神奈川県平塚市生まれ。2020年東京農業大学地域環境科学部森林総合科学科卒業。同年銘建工業入社。バイオマス事業部に配属され、現在に至る。
木質バイオマス発電で地域を豊かに
複数の木材を貼り合わせた集成材やCLT(直交集成材)の国内トップメーカー銘建工業(真庭市勝山)。同社で、国内外から注目を集める木質バイオマス発電事業に携わっているのは、入社3年目の平野あや子さん。大学時代は森林の生物、なかでも「光るキノコ」を研究していたといい、「木材や農業、環境につながる仕事がしたい」と入社した。現在の業務は、国内トップシェアを誇る木質ペレットの製造や、木くずや端材を再利用するバイオマス発電所の運転、全国から見学者が訪れる「バイオマスツアー」のガイドなど多岐にわたる。「真庭市とともに地域ぐるみで推進している発電事業や、全国の皆さんに愛用してもらっている木質ペレットの製造に関わることができるのは、私にとって大きな誇りです」と、明るい笑顔で語る。
平野さんが生まれ育ったのは、太平洋に近い神奈川県平塚市。東京農業大学では森林にすむ生物の生態や、里山の森林経営など、幅広く「森林」分野を勉強。特に、木材の有効活用や、キノコの理化学的利用法について研究してきた。その4年間の学びを生かせる就職先を探していたところ、銘建工業の存在を知ったという。
地縁のない岡山県の企業だったが、「決め手は、『人』でした」と明快に答える。「私をよく知ろうとしてくれる面接官の方々や、同期になる人たちの雰囲気に温かさを感じた」のが選んだ理由だ。
平野さんの仕事場は、木質ペレットの製造工場、昨年8月に稼働したばかりの新しいバイオマス発電所、そして、集成材をふんだんに使用した、カフェのような本社事務所の3拠点だ。新発電所では、運転要員としてトラブルのないよう4時間に1回程度ボイラーの燃料をチェックし、ペレット工場では、圧縮成形されたペレットを袋詰めし、フォークリフトを操作して運搬する。事務所では、ペレットの生産計画の立案や受発注、問い合わせへの電話対応など、さまざまな業務をマルチにこなす。
「現場では力仕事もあるし、機械のメンテナンスなど工学的な知識も必要なので、1年目は大変でした。ひたすら『とりあえずやる』と『知る』に努めました。現場の方たちがとても親切に教えてくれるので、ようやくできることも増えました」。人に頼らず何でもできるようになりたいと、ボイラー技士やフォークリフトの免許など資格も積極的に取得。「実際に自分で関わっているから伝えられることもあります。たとえば木質ペレットについての問い合わせや、バイオマスツアーでの案内で話す際も意識して対応するように心がけています」と話す。
神奈川からこの地に移住して3年。真庭の魅力については、「勝山は山間の小さな町ですが、おいしいものも多くて生活に不便は感じません。最近、脱炭素に向けた市民会議に参加して地域の方とお話する機会がありますが、地元の皆さんが本当に温かい。それが真庭の『人』の良さだと感じます」。仕事面では、「『あの人に聞けば大丈夫』と頼ってもらえるような先輩になりたい」と話し、「バイオマス発電所をトラブルなく安定的に運転して、電力でも技術でも真庭市に還元していきたい」と力強く目標を語る。