“みまさか”ではたらく人物図鑑

2020
辻󠄀 路也さん

株式会社マルイ 情報マーケティング室 課長

辻󠄀 路也 さん

1983年津山市生まれ。神戸大学工学部卒。北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科修了。都内IT企業で約8年システムエンジニアを務めた後、2015年マルイに入社。

ITでスーパーと地域を活性化

津山市を中心に25店舗を有する地域密着型スーパーマーケット・マルイ(津山市上河原)。
買い物客のレシートのデータから「どんな人が、何時に、何を買ったか」といった情報を分析し、売り場づくりに役立てるなどIT(情報技術)で社内改革を進めているのが同社の辻󠄀さんだ。

大手IT企業のSE(システムエンジニア)出身の辻󠄀さんは「eコマース(電子商取引)サイト開発などに携わった経験を実店舗のあるスーパーマーケットに役立てたい」と5年前に入社。
販促等への社内のデータ活用、システム化による効率化に貢献してきた。
「さまざまな課題を見つけて問題解決するのは楽しい。都会では味わえないやりがいを感じる」。
さらにITによって地元の果物など第一次産業の「新たな価値」を生み出そうと意欲を燃やしている。

津山市で生まれ、地元の工業高等専門学校ではロボット作りに打ち込み、大学、大学院大学では電気やシステム、経済など幅広い分野を学んだ。
就職した大手IT企業では、eコマースサイトのデータ分析や機能設計開発などを行うSEとして7年間勤務。
介護事業所向けソフトウエア開発企業に転職して間もなく実家の都合で帰郷し、2014年に津山市で個人事業主として独立した。
「スーパーのIT分野でやりたいことがある」とマルイに向けて行った新規事業のプレゼンテーションがきっかけで、15年、同社に入社した。

20年後のマルイをつくってほしい」会社が辻󠄀さんに与えた使命だ。
社内にある膨大なデータの分析を任されると、まずは外出先でもチラシが見えるようWEBチラシを採用。
さらに各店舗が表計算ソフトで管理していた商品別売り上げなどのデータを「全店でだれもが簡単にグラフで見ることができる」システムに変更した。
新システムは、データの判断に集中できるようになった結果生産性が上がり、店舗スタッフから「店舗間で商品の売り上げを競いたい」という提案が出されるなど社員のモチベーションアップにもつながった。

遅れ気味だった社内のシステム化も次々と進めている。
手書きのままだった中元や歳暮などの受注伝票をPC入力によるシステム化すると、「一番喜ばれた」のは取引先の産直商品の桃メーカー。
「人手不足の折に、手書き伝票をデータ入力する手間が省け、本当に助かった」と言われ、お礼に最高級の桃を贈られた。
「人材や資金不足を理由にシステム化が進まない地方の第一次産業を助けたい、ITで魅力ある商品の価値を高めたい」辻󠄀さんに新たな思いが芽生えた。

「地方都市の課題はまだシステムと結び付いていない。
T活用を地元スーパーであるマルイが中心となって担い、地産地消、地域循環の流れをつくりたい」。
そのためにSEの技術を持つ仲間をもっと増やしたいと考えている。
「現在はネットやSNS(会員制交流サイト)で都会に出なくても情報が集まる。地方にいながら最先端の仕事ができることを知ってもらいたいですね」。
20年後のマルイ、地域の発展に向けて辻󠄀さんは挑戦を続けている。

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