“みまさか”ではたらく人物図鑑

2021
松田 和也さん

株式会社マルイ 取締役 営業本部販売部 部長

松田 和也 さん

1986年津山市生まれ。フランス甲南学園トゥレーヌ高等部、甲南大学経済学部卒。大手食品メーカー勤務を経て、2014年マルイに入社。津山市在住。

スーパーのワクワク感を醸成

「スーパーマーケットの仕事は知れば知るほど奥深く、面白い。そんなワクワク感を従業員はもちろん、お客さまにも伝えたい」。目を輝かせながらスーパーの魅力を語るのは、津山市を中心に岡山、鳥取、島根県で地域密着型スーパーマーケットを展開する「マルイ」(津山市上河原)の松田さん。今年創業90周年を迎えた同社は食育や環境活動、スポーツ振興支援など、「食」を通した地域貢献にも積極的に取り組んでいる。大手食品メーカー営業出身の松田さんはお客さまに愛され、信頼されるスーパーを目指し、ユニークでインパクトのあるテレビCMを考案。現在は来年1月放送開始予定のオリジナルアニメーション制作を進めており、次世代の新たなファンづくりに奔走している。

 中学校までは津山市下横野で育った松田さん。父はマルイの松田欣也代表取締役社長であり、「全く知らない人に息子だと知られている環境が息苦しく嫌だった」ことからフランスで高校時代を過ごした。日本に戻って大学卒業後、大手食品メーカーに就職。3年間営業職として企業間取引に携わる中で「もっと幅広い商品に関わり、確かなものをお客さまに直接提供する尊さと楽しさを仕事にしたい」という思いが強くなり、帰郷しマルイに入社した。
 
 最初は鳥取県米子市内の店舗で接客や商品の陳列、発注などに従事。地域ならではの食文化は奥深く、「店ごとにその土地に根付いている意識や考え方、文化を踏まえ、お客さまの多様性も理解した上で商品を選び、提供しなければならない。スーパーマーケットの仕事は勉強すればするほど面白いんですよ」と声を弾ませる。本社勤務になってからは販売促進にも注力。自ら考案した公式キャラクター「ハナシカ」のテレビCMを手掛け、出囃子(でばやし)をBGMにお得な情報を発信している。

 新たな試みとしてオリジナルアニメーションも制作中。次世代の新たなファンを増やすため、マルイへのワクワク感を醸成するのが狙いという。とある百貨店の御曹司が同社で働き成長していく、自身の生い立ちも反映させたストーリーで、松田さんは「アニメを通してマルイの教えや大切にしているものを伝え、会社のブランド価値やスーパーマーケットの社会的地位を高めていきたい」と意欲を見せる。人気アニメ「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」などに出演している津山市出身の声優・大塚芳忠さんや岡山県勝央町出身のミュージシャン・Boseさん(スチャダラパー)の協力や人脈で著名な人たちとのコラボが実現。アニメは主に若者層の利用が顕著なYouTubeやTwitterといったデジタル媒体で2022年1月から放送を開始する予定だ。

 思春期に離れてしまった津山だが、帰ってみると人々の温かさや自然の豊かさが身に染みた。「自分が置かれていた環境はとてもありがたく、幸せなことだったと気付いた」と松田さん。地域に応援してもらえているスーパーマーケットだからこそ何か恩返しがしたい―。「自分の体に入ってくる食品を実際に見て買うことができる、その『リアル』を追求できる場所をつくりながら、お客さまや従業員、地域のみんながワクワクするようなことに挑戦したい」。可能性は無限大だと信じている。

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