“みまさか”ではたらく人物図鑑

加茂繊維株式会社 製造部
丸山 洋介 さん
(まるやま・ようすけ)1996年大阪府生まれ。沖縄、広島県で育つ。広島県立広島国泰寺高校を経て、2019年岡山理科大学理学部を卒業。同年に加茂繊維に入社。
繊維のチカラで人々の役に立ちたい
「社会の課題を“繊維のチカラ”で解決する」をミッションに掲げる「加茂繊維」(津山市野介代)。天然鉱石ブラックシリカをポリエステル繊維に練り込んで作られた新機能素材「BSファイン」は、“着る岩盤浴”と称される温め機能が特徴で、肌着やレッグウォーマーなど約300種類の商品がリリースされている。丸山洋介さんは、入社以来さまざまな職種を経験。百貨店での催事営業で商品を提案し、顧客から涙ながらに感謝された実体験が成長の原点となっている。現在は本社工場の管理業務を担当。生産が計画通り進むよう、資材の発注やラインの管理を行い、売れ筋や商品在庫に応じて生産商品の切り替えも行う。「若手にチャンスを与えてくれる会社。周囲の期待に応えられるよう、生産管理の経験やノウハウを積んでいきたい」と将来を見据える。

「社会の課題を”繊維のチカラ”で解決するという会社のミッションが、自分の考え方に合っていると思いました」と話す丸山さん。岡山理科大学に進学し、「人の役に立つ仕事に就きたい」と教師を志したが、理想と現実のギャップに違和感を抱くようになったという。民間企業への就職を考えて合同企業説明会に足を運んだ際、たまたま出会ったのが加茂繊維だった。当時部長だった角野光柄・現社長から企業理念や将来像を聞き、「お客さまの声を聞き、商品を開発・製造するこの会社なら自己実現ができるかも」と考え、入社を決めた。
「加茂繊維を一言で表すと?」との問いに「若手にチャンスを与えてくれる会社」と答える丸山さん。その言葉の通り、入社以降さまざまな部門を任されてきた。コールセンターで注文を受ける仕事に始まり、百貨店の特設売り場などで商品を提案する催事営業、新人教育のサブ担当、商品利用者に付け心地などを電話で尋ねるチームのリーダーなどを経験。現在は本社工場で管理業務を担当し、生地の裁断から、縫製、検査、仕上げまでの工程が計画通り進むよう目を配っている。資材の発注も受け持ち、ミシンに不具合が発生すれば修理する。特に注文が増える11月は、欠品が出ないよう細心の注意を払っており、ラインの切り替え対応がすぐできる小ロット生産の強みを生かし、売れ筋や商品在庫に応じてスピード対応で生産商品の切り替えも行っている。
会社の代名詞とも言える「BSファイン」は、天然鉱石ブラックシリカをポリエステル繊維に練り込んで作られた新機能素材。“着る岩盤浴”と称される保温性は、冷えに悩む多くの人々の暮らしを支えてきた。丸山さんがそれを痛感したのは、まだ駆け出しだった頃の催事営業だった。「朝、足首が痛くて起き上がれない」という女性客に、BSファインのソックスを紹介。次の日、その女性客が再び売り場を訪ね、「今朝は全然痛くなかった!」と感謝を告げられた。「わざわざお礼に来てくださったことがうれしくて、その方と一緒に泣いて喜びました」と振り返る。現在の部署でも製品に関する要望が各地から届けられており、縫製の方法などを試行錯誤し、顧客の声に徹底して応えられるよう努めている。
就職を機にスタートした津山市での生活は7年目を迎えた。のどかな環境ながらも飲食店や商業施設がそろい、過ごしやすさを実感している。仕事終わりに同僚らと食事に行くこともあるという。さまざまな職種を経験し、ステップアップしてきた丸山さん。「『工場長になりなよ』と言ってくれる上司や周囲の期待に沿うことができるよう、材料の調達や協力企業との折衝といった生産管理の経験やノウハウを積んでいきたい」と目標を語る。
会社概要/1973年大手肌着メーカーの協力工場として創業。理想の肌着づくりを追求し、2004年に天然鉱石ブラックシリカを用いた新・機能素材「“着る岩盤浴”BSファイン」の開発に成功。「社会の課題を繊維のチカラで解決する」とのミッションを掲げ、通信販売を主に右肩上がりの成長を続けている。〒708-0821 津山市野介代1650-1 TEL0868-33-9088
