“みまさか”ではたらく人物図鑑

2021
谷口三作子さん

株式会社エイチケイ商会

谷口 三作子 さん

1969年真庭市生まれ。岡山県立勝山高校卒業後上京し、大手エステ企業ファッション部門の広報や、テレビ制作会社社長秘書などを務めた後、2006年に弟と共にデザイン会社を設立。12年母の介護のために帰郷し、17年エイチケイ商会に入社。真庭市在住。

真庭発のコスメを全国へPR

紙幣の原料になるミツマタのエキスを配合した世界初*の美容液として2017年エイチケイ商会(真庭市久世)が開発した「結の香」。「しみを抑制し、保湿効果がある」とされ全国的に評判を呼ぶ同製品の広報・PRを一手に担っているのが谷口三作子さんだ。真庭市はかつてのミツマタの一大産地。谷口さんは「美容液を真庭発の新たな地域ブランドに育て、伝統のミツマタ生産を再興したい」という同社の内藤靖史会長の思いに賛同して入社し、商品のパッケージや広告づくり、受注・発送まで行っている。18年には全国の地方新聞社による通販サイト「47CLUB」の商品約3万5千点の中から選ばれる大賞の受賞にも貢献。現在は今年7月に発売された新製品の化粧水のPRに取り組んでいる。

真庭市落合で洋品店を営む家に生まれ、幼いころは家の前を流れる旭川や山で伸び伸びと遊んで育った。高校卒業後上京し、大手エステ企業ファッション部門の広報担当やテレビ制作会社の社長秘書を務めるなど、都会で生き生きと働いていた。
 転機が訪れたのは2012年。両親が体調を崩し、父が他界、母も介護が必要な状況に。母を一度は東京に呼び寄せたが、「マンションで暮らすより、自然豊かな地元で母を介護した方がいい」と帰郷を決断した。
25年ぶりの故郷での生活に戸惑いながらも地元ゴルフ場に勤務。そこでエイチケイ商会の社長と知り合う。当時同社は岡山理科大との産学連携で、真庭市特産のミツマタのエキスにしみやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑える効果があることを突き止め、美容液の商品化準備を行う真っ最中。しかし主業がガソリンスタンド経営のため、化粧品販売のノウハウがなく、女性の力を求めていた。「ぜひ感性を生かして手伝ってほしい」―。「結の香」の開発に心血を注ぐ会長の姿に心を動かされ、入社を決めた。
 「『結の香』の美容液はミツマタをはじめすべて植物由来。自然の成分だけでここまで効果のある化粧品は他にないと思う」。さまざまなメーカーの美白化粧品の成分を調べ、実際に試した谷口さんの言葉には自信が宿る。全国から寄せられる電話やメールの問い合わせもすべて1人で対応。「今まで肌が弱くて美白化粧品が使えなかったけれど結の香は安心」「使い続けていたらしみが薄くなった」などの感想はもちろん「ミツマタと聞いて懐かしくて電話した」といった地元の高齢者の声も聞くとやりがいを感じるという。
 日々ユーザーの声を聞く谷口さんの意見も反映し、今年7月、新商品の化粧水「結の香ホワイトリフトローション」が発売された。ミツマタエキスに加え、岡山市のバイオ企業・林原が新開発した、肌のたるみ改善が期待できる植物由来の成分「グルコシルナリンギン」を配合し、「肌のキメが整い、張りが感じられる」と評判は上々だ。
 持ち前の明るさとバイタリティーで仕事と介護を両立し、母親の通うデイサービスで趣味のフラダンスを披露するなどボランティアにも積極的に取り組む。「高齢化が進む真庭市をもっと元気にしていきたい。自然や食材に加えて化粧品の『結の香』もあるので、内外面ともに美しい“美人の多い町”にしていければ」と夢を描いている。

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