“みまさか”ではたらく人物図鑑
株式会社英田エンジニアリング RF製造部 機械課 主任
山本 真路 さん
1991年津山市生まれ。岡山県立津山高校を経て、岡山県立大学情報工学部卒。2014年英田エンジニアリング入社。
世界に誇るモノづくり任される
「ちょっと進んだモノづくり」を創業の精神として、40年以上にわたって成長を続けている産業機器メーカー・英田エンジニアリング(美作市三保原)。同社が創業当時から開発、研究を重ね、国内外で高い評価を得ているのが、建材や自動車部品の鋼材を加工する成形機とその基幹部品「フォーミングロール」だ。この生産に関わる23人のスタッフをまとめるのが若きリーダー・山本真路さん。工場で鋼材の切断、加工、研削など各工程を管理しながら、自らも直径80㌢の大型フォーミングロールに対応するNC旋盤を操る。「世界に誇る技術で作った製品を、少しでも早くユーザーに届けられるよう日々工夫している。部署の採算管理を任されているのもやりがい」と笑顔を見せる。
美作三湯・湯郷温泉の南、初夏にはホタルが舞う清流・河会川沿いにある英田エンジニアリング本社。同社はこの自然豊かな地で、世界中に流通する金属成形機や造管機の高精度なフォーミングロールを生産し、長年、精密加工や熱処理技術を磨いてきた。近年はこれらの技術を基に新たな分野に進出。今年7月に発売され話題を呼ぶ自動車のアクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防ぐ補助装置「アイアクセル」など画期的な製品を次々と生み出している。
津山市出身の山本さんが入社したのは7年前。大学ではスポーツ工学を専攻していたが、担当教授から「美作市に業績が良く面白い会社がある」と同社を紹介され、「ゆくゆくは実家近くで暮らしたい」とう希望もあり心を決めた。
しかし入社当初は苦労の連続。配属されたフォーミングロールの生産現場では、機械操作に戸惑ってミスを連発し、「毎日落ち込んでいた」と振り返る。それでも周囲の先輩に励まされて奮闘するうち、「紙の図面からみるみる形になり、3次元のモノ(製品)となる瞬間に立ち会えるのが面白くて」と次第にものづくりの楽しさに目覚めていった。
地道な努力が評価され、入社4年目でRF製造機械課の工程管理の仕事も任される。同社はユーザーの使用条件や用途に合わせたフォーミングロールを製作するため、納期は数日~数週間とさまざま。山本さんはそれぞれの進捗状況に目を配り、月平均1500~1600個を出荷する。効率を重んじながらも大切にしているのは “お客さま第一”の姿勢。「高品質、短納期、低コストは大前提。製品の表面に傷がないかなど見た目の美しさにまでこだわる」という。
同社は部署ごとに独立採算で運営する京セラのアメーバ経営を導入しているため、RF製造部機械課の“経営”も山本さんの重要な仕事だ。毎月の目標に向けてスタッフ全員の力を結集するため、若い人には「考えさせる」指導を行い、先輩の意見には必ず耳を傾けて円滑に仕事が進むよう気を配る。無事目標を達成した際は格別の充実感があるという。
プライベートでは6歳、2歳、0歳の3人の子どもの良き父親。休日は家族で公園や釣りに出かけるなど、県北の自然の中で英気を養う。家族の支えも得てますます仕事にまい進する山本さん。「機械操作も工程管理もまだまだ勉強中。2つの仕事を両立させて誰からも頼られる存在になり、部署の“黒字経営”を続けたい」と意欲を燃やす。