“みまさか”ではたらく人物図鑑

株式会社英田エンジニアリング 営業部 環境機器営業課 班長
小坂田 光 さん
1995年美作市生まれ。2014年林野高校卒業後、一度勝央町内の工場に就職。その後大阪成蹊短大経営会計学科に入学し18年に卒業。同年英田エンジニアリングに入社。美作市で妻と1歳の娘と3人暮らし。
高品質な破砕機の顧客を開拓
「当社の破砕機のウリは品質、納期、コストのQDCすべてがそろっているところです」。淡々とした口調に自社製品に対する揺るぎない自信をにじませる。英田エンジニアリングの小坂田光さんは、入社以来、木材や金属、ゴムなどの産業廃棄物を砕いてリサイクル可能にする破砕機を製造する環境機器製造部に所属し、製品の見積もりや工程管理を担ってきた。顧客の急な納期短縮の要望にも、社内の現場スタッフや協力会社の意見を調整しながら対応。その仕事ぶりを買われ、今春から営業課の班長として活躍している。オリジナルの材料と熱処理技術による破砕機の刃は、破砕物に合わせてさまざまな硬度で製造できるのが強み。誰よりも現場の努力を知る小坂田さんは「製品の魅力を伝え、新規のお客さまを開拓したい」と静かな闘志を燃やしている。

岡山県有数の茶の産地・美作市海田で生まれ育った。地元高校卒業後、一旦は勝央町内にある大手企業の工場に就職したが、夜勤のある勤務体制になじめず1年余りで退社。あらためて事務職に就こうと大阪の短大に進み、簿記やPCを学んだ。卒業後は「長男なので実家近くで働きたい」とUターン。そこで出会ったのが産業機械メーカーの「英田エンジニアリング」だった。家から近く、希望する事務の仕事に就けること、充実した福利厚生にも引かれて入社を決めた。
入社後は産業廃棄物などを処理する破砕機とその刃の設計、製造、メンテナンスを行う部署に配属された。製品の見積もりを任され、やがて複雑な工程管理も担うようになった。破砕機の刃は工場内にある大型の焼き入れ炉で熱処理をしており、製品の命である独自の材料、熱処理技術によって製品の硬度や靭性を調整し、顧客の要望に応じた刃物を作れるのが特徴だ。「切れる、寿命が長く割れないのが強み」と小坂田さんは胸を張る。鉄や木、ゴムなどさまざまな廃棄物に合わせて作られている同社の破砕機及び刃物は、再生可能エネルギーである木材チップづくりに利用されるなど循環型社会にも大きく貢献している。
4年間務めた工程管理の仕事では、顧客からの難しい納期短縮の要望にも応えてきた。社内の現場スタッフや加工を依頼する複数の協力会社に「無理なお願い」を聞いてもらいスケジュールを調整。3カ月の納期を2カ月に短縮したこともあるという。日頃から現場や協力会社と良好な関係を築いてきた小坂田さんならではのワザだ。
とはいえ、入社当時は「納期の短縮をお願いしても聞いてもらえなかった」といい、協力会社との関係には苦労したという。その関係性を変えるきっかけになったのはある協力会社の社長の“一喝”だった。FAX1枚で加工を依頼し、つい放置していた小坂田さんに対し、「仕事をなめるな」と厳しい言葉をかけたのだ。この出来事で猛省した小坂田さんは自らの姿勢を改善。どの会社とも必ず念入りに打ち合わせをし、急ぎの場合は自らトラックを運転して部品を運び込むなど行動で示した。その思いは徐々に協力会社に伝わり、やがてどの会社からも「かわいがられる」存在に。数年後には「社長らとのコミュニケーションが楽しみの一つ」にまでなった。
今年4月から営業課の班長として東日本方面の顧客を担当している。岡山湯郷ベルの選手をしながら熱心に営業の仕事にも取り組む社員を部下に持ち、そのサポートをしながら自身も新規顧客の獲得に意欲を燃やしている。
プライベートでは3年前に大阪出身の妻と結婚し、昨年長女が誕生して公私ともに充実した日々。仕事と同様に家事や育児も積極的に担っており、今年から始まった保育園の送迎は主に小坂田さんの役割だという。「会社は有給休暇が取りやすいので助かっている。子育てと両立しているイクメンの男性も多いですよ」と柔和な笑顔を見せた。
会社概要/1974年創業。「ちょっと進んだモノづくり」をモットーにする研究開発型の産業機器メーカー。鋼板を建材や自動車部品向けに加工するロール成形機を主力に無人駐車場管理システムや自動車のペダルの踏み間違いを防ぐ「アイアクセル」、自動車の盗難を防ぐ「i/lock(アイシャロック)」なども開発している。〒701-2603 岡山県美作市三保原678 TEL0868-74-3637
