“みまさか”ではたらく人物図鑑

2022
片上 風樂さん

株式会社英田エンジニアリング 経営企画部 DX推進担当

片上 風樂 さん

1996年広島市生まれ。広島なぎさ中学・高校を経て、2020年岡山県立大学デザイン学部デザイン工学科(現・工芸工業デザイン学科)を卒業。同年英田エンジニアリング入社。

デザインの力で会社と地域に貢献

高級車の盗難が増加し、手口も高度化する昨今の社会問題を解決しようと、産業機械メーカー「英田エンジニアリング」(美作市三保原)が今年6月に発売した自動車盗難防止装置「i/lockアイシャロック」。“愛車をロックする”を意味するユニークな商品名の名付け親であり、同商品の上位版デザインを手掛けているのが入社3年目の片上風樂さんだ。大学でプロダクトデザインを専攻していた片上さんは、「デザインが企業の力になる」という英田エンジニアリング社長の考えに感銘を受け、大手企業の内々定を辞退して同社に入社。現在は自社の製品をはじめ、ちらしなど広告物のデザインを担うほか、PR映像制作、メディア対応など多方面で活躍している。「忙しいけれど毎日が楽しい。デザインの力で製品、会社の価値を生み出したい」とさらなる意欲を燃やしている。

広島市出身の片上さん。岡山県立大時代はプロダクトデザインを専攻し、“積み降ろしが楽な車載用サイクルキャリア”など大小さまざまな製品のデザイン・制作に取り組んだ。大学3年次には米国の自転車メーカーでの就職を希望して渡米。ビザ下りずかなわなかったが1年間海外で貴重な経験を積み、帰国後は日本の大手自動車メーカーの内々定を得た。

内々定に喜ぶ一方でふと疑問を感じたという片上さん。「大企業では歯車の一つ。やはり“これが僕のデザインしたもの”と誇れる仕事がしたい」。大学の恩師に相談し、紹介されたのが英田エンジニアリングだった。同社は駐車場管理システム機器で国内トップシェアを誇り、車止めを地中に収納するゼロフラップをベースにした駐車場機器システムや昇降式車止めボラードなどでグッドデザイン賞を受賞している産業機械メーカー。社長に話を聞くと「優れたデザインは機能性に帰属するものである」というデザインの本質に対する自身の考えと合致し、「ここなら歯車ではなく、エンジンになれるかもしれない」と、その日に入社を決意した。

「まさか岡山でプロダクトデザインの仕事ができるとは思っていなかった」と笑顔を輝かせる片上さん。若手デザイナー4人が集まる経営企画部で主に広告物や販促物のデザインを手掛ける一方で、入社3年目の今年、いよいよプロダクトデザイナーとしての第1号作品「i/lockアイシャロック」の中・上位版が完成を迎える。デザインチームと開発担当者で何度も話し合いを重ねて作り上げた製品は、LEDを搭載し、強度を増した機能性を備え、かつ上質なエクステリアに似合うスタイリッシュなデザイン。「機能性を追求した結果生まれた“カッコいい”デザイン」は片上さんの理想形だ。試作品が出来上がった際は「デザイナーをやっているな」という格別の達成感に包まれた。

プライベートでは昨年社内結婚し、美作市内で暮らす。週末は趣味の自転車を走らせ、地元のグルメ、湯郷温泉などに立ち寄って英気を養う充実した毎日だ。「将来は社内ベンチャーで、社外の仕事もしてみたい」と語る片上さん。「大好きな岡山を盛り上げたい」と県内の中小企業のPR映像制作やデザインを請け負い、デザインマネジメントの力で地域の発展に貢献したいと考えている。「とはいえ、海外事業部が出来たらそこで活躍するのも夢なんですけどね」とにっこり。自然豊かな山間の町・美作市で、26歳の夢は無限に広がっている。

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