“みまさか”ではたらく人物図鑑
銘建工業株式会社 総務人事部
瀬﨑 景己 さん
1996年倉敷市生まれ。岡山大学文学部卒。大学在学中は多数のインターンシップに参加し、「女性の生き方」セミナーを主催するなど学内外で積極的に活動。2018年銘建工業に入社。真庭市在住。
「木の可能性」を伝えたい
「こちらは複数の木材を貼り合わせて作られた集成材。住宅の柱や梁に使われています」「この木くずはバイオマス発電の燃料で、工場の電力を賄って売電もしています」―笑顔を絶やさずはきはきと工場の設備を説明する銘建工業(真庭市勝山)の瀬﨑さん。
同社は集成材やCLT(直交集成板)の国内トップメーカー。
真庭市などと地域ぐるみで進める木質バイオマスによる発電事業でも国内外から注目され、真庭観光局が企画するバイオマスツアーの見学者が相次いで訪れる。
案内役は広報を担当する瀬﨑さんの大切な仕事だ。
「多くの人に木の可能性を伝えたい。それと共に自然豊かで“面白い人”が多い真庭市の魅力を知ってもらえれば」。
知識を増やし、伝え方を工夫しながら日々奮闘している。
名古屋市で育ち、高校2年生の時に両親の故郷である岡山県の倉敷市に越してきた。
「岡山県北が木材の産地であることも知らなかった。それに木を伐採するのは自然破壊だと思っていたんです」と笑う。
「木との出合い」は岡山大学2年生の時。岡山県内の木材産業を学ぶインターンシッププログラムに参加するカナダ人留学生の通訳に「英語が学べる」と軽い気持ちで応募したのがきっかけだった。
3週間のインターンシップでは、集成材工場で木の選別作業などを体験。
木の間伐は森を健康に保つために必要であること、木は切っても植えればまた再生産できること、木材は加工のための消費エネルギーが他の素材に比べて少ないこと…。
「木は循環型の素晴らしい材料」であると知り、木材業界に対するイメージが変わった。
数年後の就職活動では、集成材やCLT、バイオマス発電など先進的な事業を手掛けている銘建工業を選んだ。
「何より社員がみんな個性的。全国から会社の取り組みに賛同して県外から集まってきている若者も多く活気があるんです。そんな仲間と一緒に働きたいと強く思いました」。
「木材の利用はエコであり、先進的なものであることを、以前の私のように知らない人はまだまだ多いと思う。
木の可能性や魅力をより多くの人に伝えていきたい」。
見学者は一般客や行政関係者などのほか、海外からの視察もあり、毎週、会社主催の英会話教室に参加して、英語力も磨いている。
会社のウェブサイトの更新や、各部署を丁寧に取材してつくる社内報の編集、社長秘書業務も担い、忙しい毎日だ。
会社近くで一人暮らしをする瀬﨑さんが息抜きに訪れるのは真庭市立中央図書館。CLTを活用したデザイン性のある空間で、「東京から見学に訪れた人に紹介すると必ず喜ばれる」という一押しスポットだ。
「市内のカフェや食堂は安くて個性的。休日には山登りや釣りを楽しんでいます。木材ついてはもちろん、真庭の魅力も若い人にぜひ知ってほしいですね」。