地域に生きる“みまさか”の若手たち

平田 温子さん =津山市桑下

地域に生きる“みまさか”の若手たち

平田 温子さん
=津山市桑下

「クラシックアップルパイ」は、平田さんが代表を務める専門店「GREEN DAYS」(津山市桑下)の看板メニューだ。一般的な製法と異なり、香ばしく焼き上げたタルト生地をパイの土台に用いているのは「自分がおいしいと思うものを求めていった結果」。旬に合わせてリンゴの種類を変えるといったこだわりが、多くの客の心を捉えている
平田 温子さん

「仕事と私生活を分離せず、主婦もいきいきと働ける場所」に

リンゴのコンポートとアーモンドクリームの優しい甘さが口いっぱいに広がる。どこか懐かしさを感じさせる味わい。

2014年9月、自宅敷地内にカフェとしてオープン。現在はテークアウト中心の市内2店舗とインターネット通販を軸に展開する。

「営業トークが苦手だった」

興味のあった美容を学ぼうと津山工高から大阪の専門学校に進学。神戸市のエステ店に就職したものの、希望と異なる営業職で働くこととなり、約1年で生まれ育った津山市に戻った。

市内の飲食店でアルバイトをしていた時に知り合った崇さん(43)と結婚。小学生のころから親しんでいたというお菓子作りの腕前を披露したことが、店を持つ一つの契機になった。

リンゴ好きの夫のために作ったアップルパイ。夫の後押しもあって「こだわりのパイを食べてもらいたい」と、崇さんが社長を務めるデザイン事務所の一部門として開業した。

次第に商品は人気を呼び、15年には岡山市にアンテナショップを出店。昨年は津山市内に2店舗目を構え、本店敷地内の倉庫を改修して工房を整備し直し、生産能力をアップした。

今後、キッチンカーに乗ってリンゴの産地や農園を回り、各地でパイを作ることを計画中。「私たちの思いに共感してくれるファンを増やすにはお店に来てくれる人を待っているだけじゃいけない。攻めていくことで『GREEN DAYS』を次のステージに進めたい」と先を見据える。

夫婦で始めた店は、女性従業員4人が加わり「2人ではできなかったことが、できるようになってきた」。

母の日やハロウィーンといった特別な日は、オリジナルデザインの飾り付けをサービスしたり、今夏に子ども向けのアップルパイ作り教室を初めて開いたり。いずれも従業員の個性を生かした取り組みだ。

「仕事と私生活を分離せず、主婦もいきいきと働ける場所」にしたいとの思いがある。工房内にはガラス窓越しに母親の働く姿が見える保育スペースを設けるなど、女性の働きやすい環境作りに余念がない。

「『スタイル』を売るが理念。女性が活躍できる職場のモデルになれたら」

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