地域に生きる“みまさか”の若手たち

寺阪 渉さん =津山市

地域に生きる“みまさか”の若手たち

寺阪 渉さん
=津山市

「水も空気も土もきれい。だから新鮮でおいしい」と3店のオーナー寺阪さん。県外で約8年暮らしたが「やっぱり地元の味が一番」。他の食材もできる限り地元にこだわり「たくさんの人に津山のご飯はおいしいと思ってもらいたい」と話す。
寺阪 渉さん

津山のご飯はおいしいと思ってもらいたい

イタリアンにフレンチ、ステーキ店。津山市内で営業する三者三様の店で提供する野菜は、およそ9割が作州地域産という。

野菜の多くは農家と直接取引する。大きさや形がふぞろいで、市場に出荷しにくい規格外のものであっても「品質に問題がなければ、市場の定価で購入する」。生産者を支えたいとの思いだけではない。食べられるのに捨てられてしまう食品ロスを減らすことにもなるからだ。

市内外の業界の仲間と9月に立ち上げた料理の勉強会を軸に、この取り組みを広げられないか検討している。

 

元々、「津山で働きたいという考えはあまりなかった」という。

美作高3年時、四つ上の姉の結婚式に出席。華やかな雰囲気や振る舞われる魅力的な料理に興味を持ち、ブライダルを学べる大阪の専門学校に進んだ。

2年間の在学中は、勉学の傍ら居酒屋でアルバイト。バイト仲間とも気が合い「仕事が楽しく自分に合っていた」。やりたいことをやるとのスタンスで卒業後は大阪にとどまり、飲食店に就職した。

その後も自身のスタンスは変えず、関西圏や首都圏でブライダル、自動車販売など計6社を社員やアルバイトとして渡り歩く。その間、帰省するたびに感じたのが、地元食材のおいしさや自然の豊かさ。

「やっぱり飲食店をやりたい」と思った時、津山に戻ることを選択。亡くなった祖母が暮らしていた空き家を改修し、イタリア料理店「TERRAテラ」(志戸部)を開業したのは2013年、26歳のときだった。

TERRAを皮切りに、「やりたいこと」は広がり、少しずつ事業を拡大してきた。

結婚式を開けるレストランなどの営業を始め、各店の運営会社「IroDori」(志戸部)を19年10月に設立し、代表に就任。ホームページ作成のプランニングにも取り組む。

新型コロナウイルス感染拡大で多くの飲食店が打撃を受けていた今年4月、「みんなで乗り切りたい」と、県北を中心にテークアウト可能な店を紹介するサイトを開設。同月には、結婚式の対応に苦慮するカップル向けに写真共有アプリ「インスタグラム」のライブ配信を活用した式を開催し、式場に来られない人たちも新郎新婦の門出を祝った。

「いろんなことを経験したからこそ、いろんなことに挑戦できる」。コロナ禍にあっても地域を盛り上げる方法はあると信じている。

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