ニューノーマルへ-コロナとその先-
今こそ地域の価値の最大化を
先日、マスクをつけて、とある美術館でガラスアートを観に出かけた。
そこには二種類の対照的なアート作品があった。
一つは、ガラスの光を反射する性質を活かした柱状の透明なガラスアート。
もう一つは、ガラス素材を黒塗りにしてガラスの反射する性質を消した花形のガラスアート。
私には、後者の作品は、ガラスが本来もつ性質を殺しているように見え、いびつに感じた。
「この花形のアートの素材はガラスである必要があるのだろうか」
この黒い花形の作品は私に、
本来もっている性質や特性を生かすということが、自然なあるべき姿であり、
「美しい」ということなのではないか、
と考えるきっかけをくれた。
コロナウイルスの影響を受けて、都市からみた地方の田舎の評価は上がった。
低密度で安心安全。
しかもテレワークでも仕事ができるので地方の田舎に住むほうがいいのではないか、と。
地方移住の関心度も高まっている。
今、移住対策に力をいれようという自治体の話を最近よく聞く。
コロナウイルスのおかげで「地方の時代がやってきた!」ということかもしれないが、
本来の地域の価値を磨かず、目をくれずに、
世の中の世情や、メディアの言論に目を奪われ流されているのでは、
という見方もできる。
今ある地域の人材とネットワークをフルに生かして、地域がこれまでの歴史で培ってきた資源や文化を磨き、
地域での暮らし方や文化をアップデートすること。
それによって、価値を最大化することが、今、やるべきことなのではないか。
地域の価値を最大化するために、この先10年間で手をつけるべきことは多い。
エネルギーはオフグリッドへ、
食料は地域回帰へ、
働き方は多業の働き方へ、
教育は再定義へ、
経済は地域内循環へ、
文化は暮らしをベースにした文化構築へ。。。
地域の特性を生かした価値づくりが、世界の中で各地域が確固たるポジションをとることにもつながってくるはずだ。
地域の現場での取り組みや事例づくりから、国の方針の再定義や、問題提起をしていこうと思う。
人口減少で集落が消えていくと言われている中、私は、次世代に「美しい」と思えるものを残していきたい。
藤井裕也
特非)山村エンタープライズ理事長
一社)岡山県地域おこし協力隊ネットワーク代表