“みまさか”ではたらく人物図鑑
株式会社英田エンジニアリング RF製造部 製造課 主任
延平 達也 さん
1989年真庭市生まれ。2012年津山工業高等専門学校専攻科(機械・制御システム)卒業。同年英田エンジニアリング入社。赤磐市在住。
機械組立技術で 全国の顧客をサポート
「他社にないものづくりをしているところに引かれた」。人懐こい笑顔で入社の動機を語る延平さんは、入社12年になる若手のリーダー。テロ対策に活用できる強固なボラード(車止め)や自動車、建材などの部材を量産する成形機など、独自製品を生み出す姿勢に魅力を感じて入社した。以来、赤磐市の吉井工場で、基幹製品である成形機の組み立てをはじめ、納品後の立ち上げや調整、メンテナンスまで一手に担っている。全国に広がる客先への出張は月4、5回あり、緊急の連絡があればその都度駆けつける。さらに年に数度は自社の海外工場にも足を運ぶという多忙な日々だ。「予定が立てられないんですよ」と苦笑しながらもフットワーク軽く仕事をこなす。「オーダーメードの当社社製品はお客さまから評価が高い。製品が順調に稼働し、喜んでもらえるのが一番のやりがい」と語る。
真庭市の旧落合町の西部、春には桜並木が美しい備中川沿いの美川地区で生まれ育った。中学卒業後は津山市の津山工業高等専門学校に進学。本科5年間は電子制御を学び、専攻科の2年間はシステム制御を専攻して、不妊治療に役立つ細かい動きをする医療用ロボットの研究に取り組んだ。卒業後は「何か新しいものをつくりたい」という思いで就職活動を行い、目に留まったのが英田エンジニアリング。「ちょっと進んだものづくり」「改善・改良・新商品の開発に努力をし続ける」という企業理念に賛同して入社を決めた。
入社後、RF製造部に配属されると、同社の主力製品である、航空機や自動車、建築部材などを製造できるロール成形機の組み立てを任された。高速で高品質な製品を生産できるシステムとして国内外で高い評価を得ている成型機は、一台一台顧客のニーズに合わせて製作する“オーダーメード”。延平さんは、自社で作られたロールなどの部品を組み立てて製品に仕上げ、自社での検査後、納入先である顧客の工場に出向いて立ち上げまでを行っている。とはいえ「一度でうまくいくことはほとんどない」と言い、顧客が望む製品が量産できるようになるまで、数カ月にわたって現地工場で調整することもあるという。
最近では大手家電メーカーの工場に成形機を導入後トラブルが起き、「ひやりとした」。すぐに現地に飛んで原因を探って調整し、無事稼働を再開できた時は心から安堵したという。客先は東北、関東、九州まで全国津々浦々。さらに中国や台湾などにある自社の組み立て工場で製品検査も行うため、年に数回は海外出張にも出かける忙しい日々だ。
多忙な延平さんが、ほっと一息付けるのは月に1回、本社で行われる「坐禅」だ。2020年に同社は従業員の心身の健康のため、食堂やジムに加え、本格的な坐禅堂を整備し、岡山市の曹源寺から僧侶を呼んで、約120人の全社員を対象に勤務中に実施している。「どんなに忙しくても、坐禅を組むと一旦落ち着ける。冷静になれるとまた仕事の効率も上がるんです」。また社内の運動会やレクリエーションも楽しみの一つ。他部署との交流機会が多いことでコミュニケーションが良好になり、「仕事が効率的に回っている」と感じている。
プライベートでは2歳、6歳の2人の子を持つ良き父親。「美作地域は自然豊かで人が温かい。子育てには最適です」と言い、現在の吉井工場近くの住まいから、来年には津山市にマイホームを建てて引っ越し、県北に根を下ろすつもりだ。
目標は「知識、技術のさらなる向上」。キャリア10年以上で複数の案件をこなしながらも「僕はまだまだ。お客さまに問題点を尋ねられてもすぐに解決できるようになりたい。技能士1級を取得するなどして、部長や顧問といった尊敬する先輩に近づきたい」とますます仕事に意欲を燃やしている。
会社概要/1974年創業。「ちょっと進んだモノづくり」をモットーにする研究開発型の産業機器メーカー。鋼板を建材や自動車部品向けに加工するロール成形機を主力に無人駐車場管理システムや自動車のペダルの踏み間違いを防ぐ「アイアクセル」、自動車の盗難を防ぐ「i/lock(アイシャロック)」なども開発している。〒701-2603 岡山県美作市三保原678 TEL0868-74-3637