“みまさか”ではたらく人物図鑑
オーエヌ工業株式会社 生産本部 工作課
岡田 雅浩 さん
1997年津山市(旧久米町)生まれ。2016年津山工業高校卒業後、オーエヌ工業に入社。生産本部工作課で基幹商品であるステンレス製メカニカル管継ぎ手「ナイスジョイント」の加工を担っている。
ライフライン支える仕事に誇り
空港や駅、病院、ホテルなどの施設に張り巡らされた水道などの配管設備。この管同士をつなぐステンレス製メカニカル管継ぎ手で国内シェア7割を占めるのが津山市にあるオーエヌ工業だ。「継ぎ手は普段目に触れませんが、皆さんのライフラインを支える“縁の下の力持ち”です」と胸を張るのは同社工場で働く岡田さん。入社以来、主力商品の管継ぎ手「ナイスジョイント」のねじ切り加工を担当し、最近では工場内の作業効率化にも貢献する若手の有望株だ。継ぎ手は管の大きさや用途によるため約400種類にも上る。そのうち量産製品は自動加工機で作るが、特殊な形状や素材の製品は、その都度素材を固定する治具の調整が必要で、技術者の腕が試される。岡田さんは数年かけてさまざまな継ぎ手の加工を習得。さらに工場内の仕事の進め方の見直しを提案し、一人一人が責任とやりがいを持てるよう改革している。
津山市西部、自然豊かな里山があり出雲街道沿いに位置する旧久米町で生まれ育った。中学時代は卓球に熱中し、津山工業高校では電子機械科(現・ロボット電気科)でプログラミングや旋盤技術を学んだ。岡山県内企業での就活を検討し、初めてインターンシップに参加したのがオーエヌ工業。NC旋盤の機械がずらりと並ぶ工場を見学して雰囲気の良さを感じ、何よりステンレス製メカニカル管継ぎ手のトップシェアであることに心が引かれた。さらに年間130日の休日があり、男性育休も推進するといった充実した福利厚生も知り、「長く安心して働ける」と入社を決めた。
入社以来、工場のNC旋盤機で主力商品であるステンレス製メカニカル管継ぎ手「ナイスジョイント」のねじ切り部分の加工を行っている。同製品は基本のL字形、T字型、バルブがついたものなど形状はさまざまで、各7サイズあり、全体で約400種類にも上る。そのうち量産品は自動加工機を使うが、難しいのは特殊な素材や形状の製品の加工。こちらは加工する素材を技術者が自ら固定する必要があり、固定する治具を溶接して調整するなど技術者の経験や感覚がものをいう仕事だ。入社間もないころは、固定が甘く機械の刃を壊してしまい、落ち込むこともあったというが、その都度勉強を重ね、夢中で継ぎ手の加工を習得してきた。
技術を一通り身に付け、「周りが見えてきた」入社6年目、グループ会社である大阪の自動車部品工場へ1カ月間出向することになった。異なる分野の製造工場ではあったが、「すごく勉強になった」と岡田さんは目を輝かせる。そこでは従業員がそれぞれの持ち場を守り「自分の仕事」を明確にしていた。一方、自社では担当を決めず、臨機応変に対応しており、「大阪の工場のやり方を導入すればもっと効率がよくなるのでは」と考えたのだ。自社に戻ると早速上司に改善案を提案。課のメンバー14人で知恵を出し合い、ラインごとに担当する機械を固定することになった。その結果、仕事の人員配分が明確になって作業効率が向上。さらに自分の担当を決めたことで、従業員が自分の仕事に責任を持って取り組めるようになったという。
将来の目標は現場のリーダー。そのために知識や技術を身に付けるとともに「人間力」を高めたいという。「周りをやる気にし、成長させられる人になりたい」と、後輩へ指導する際の伝え方も勉強していきたいという。また今は製品の加工のみだが、「いずれは新製品開発のためのサンプルも手がけていきたい」と静かな口調で仕事への情熱をにじませる。
プライベートでは2年前に結婚し、津山市街で妻と2人暮らし。「当社は男性育休を取得する人も多いので、私も取って子育てをしたいですね」と笑顔を見せた。
会社情報/1964年創業のステンレス製配管メーカー。給水・給湯などの管同士をつなぐステンレス製メカニカル管継ぎ手「ナイスジョイント」は、耐震性、施工のしやすさから多くの工事業者が採用し、全国の空港や駅、病院、ホテルなどで使用され、国内シェア7割を占めている。そのほかねじ込み継ぎ手や産業機械用バルブなども製造。〒708-0011 津山市上田邑3235-2 TEL0868-28-0171